42.195km 未知の世界へ
- mamiakimotojp
- 14 nov. 2015
- 4 min de lecture

当日の朝、緊張からか早めに目が覚めてしまいました。朝食にはおにぎりとバナナを食べ、スタミナをチャージしました。途中で栄養補給するジェルやサプリ、ドライフルーツなどをウェストポーチに入れていたのですが、膨らみ過ぎて走りにくそうだったので、ギリギリまで入れたり出したりしていました。5キロ毎にエイドステーションがあり、水やチョコ、ドライフルーツなどが置いてあるんですけどね。結局日本で買ったアミノ酸パウダーだけ入れました。
AM8時、いよいよニースからカンヌまでのフルマラソンが始まります。練習で走った最長距離は30kmでしたので未知の世界への挑戦です。前回参加したパリ20KMマラソンでは参加者が3万人強いたので、トップランナーがスタートしてから私が走り始めるまで45分程待ち時間がありましたが、今回は1万人程の参加者でスタート音がなってから割とすぐに走り始めました。初回ほどの緊張はありませんでしたが、思い返すとだいぶ体に力が入っていたと思います。
最初の10kmはまっすぐな海岸線沿いをひたすら進みます。体全体で受けるひんやりした風が心地よく、既に強い日射しを浴びてキラキラ輝く海を横目に、こんな綺麗な景色を見ながら走れるなんて幸せだなあと感じていました。まだ余裕があったんですねえ。
20kmまでイーブンペースで順調に進み、このまま調子良くゴールできそうだと思った矢先、左足首と右ひざに少し痛みを感じました。そして25km過ぎに突然右膝がガクンとなり、次第に右足全体に痺れを感じました。30km過ぎてからが勝負だと思っていたので、ここでスピードダウンするわけにはいかないと必死でペースを戻そうとしたのですが、何しろ足が全く言う事を聞きません。。わあ、どうしよう、、なんとか痛みを忘れようと走り続けて到達した30km地点。アミノ酸とドライフルーツで栄養補給してる間、ストレッチをして回復しようとしましたが、あまり長くはもちませんでした。そこからは1km進み、ストレッチをしなければ足をつくことすらできません。
そこからは痛みとの闘いで40km地点までのことを覚えていないのですが、カンヌに近づくにつれて、ヨットハーバー沿いのおしゃれなカフェで優雅にお茶をする人々の光景がうっすら記憶にあります。特に応援するわけではなく、ランナー達をゆったり眺めているという感じです。そんな絵になる景色の中をできれば颯爽と駆け抜けたかったのですが、実際は足をひきずりながら、顔をしかめて走っていました(苦笑)
なんとか辿り着いた40km地点。もうすぐゴールと思ってからが本当に長かったです。あと2kmだと思いながら、42.195って限りなく43kmに近いということを今更ながら知り、一瞬めげそうになりました。あまりに遅くてゼッケンに書いてある名前がはっきり読み取れるらしく、沿道の人が名前を呼んで応援してくれます。「Allez, allez, jusqu'au bout!!(行け〜行け〜 最後まで〜)」という言葉が頭の中をぐるぐる。
足の痛みが限界に達し、意識が朦朧とした頃、やっとゴールが見えてきました!それまでポツポツしかいなかった沿道の人数が急に増え、応援の声も力強くなります。ゴールをくぐった瞬間、力がすーっと抜けて涙が出そうになりました。ラストスパートをかけて、颯爽とゴールをきる姿を想定していたので、力なくゴールに倒れ込むような実際の自分が少し悲しくもありましたが、「完走おめでとう!」と完走メダルをかけてもらうとじわじわと喜びと達成感が湧いてきました。
ヨロヨロとカンヌのビーチに進み、しばし放心状態。この大会は折り返しがないので、スタート地点で帰りの着替えなど荷物をトラックに預け、ゴール地点まで運んでもらえます。浜辺で着替え、ゴール後にもらったフルーツを食べ、ぼんやりと海を眺めました。


浜辺に座り、本当に走ったんだなあ〜、終わったんだな〜としみじみ思いました。
見回すと、仲間とわいわいお祝いする人、恋人と静かに喜びを分かち合う人、家族にお祝いしてもらう人。さまざまな笑顔と幸せがありました。そして、ひとりで喜びをかみしめる人も(笑)それが穏やかな波の音と調和し、私にはまるで映画のワンシーンのように見えました。
どれくらい座っていたでしょうか、汗が冷え急に寒くなり、名残惜しくも電車でカンヌを後にしました。その夜も安堵感と達成感の混ざり合った感情がじわじわと胸に響き、いつまでもその余韻に浸っていました。
そして翌日、あの膝の痛みはなんだったのか、何がいけなかったのか、これに懲りずにまたフルマラソンに挑戦したいと思い、目が覚めました(笑)まだ膝も足もガクガクでしたが、新たなゴールを見据えてまた歩き出します!

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